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精霊の大樹と家族の夕食 前編

 気がつくと私はたった一人、どこかを漂っていた。



 ――ぽこ、ぽこ、ぽこ…



 水の中に潜った時のような、くぐもった音が聞こえる。

 不思議と息は苦しくない。

 けれど、口から肺に入ってくる空気は、いつもと違って何故か粘り気があるような気がする。

 そっと目を開けてみると、様々な色の奔流が視界を埋め尽くした。

 ギラギラした色の暴力に耐え切れなくて、私はまたぎゅっと目を瞑る。

 手や足をばたつかせてみるけれど、どこにも触れない。もしかして、私はとても高いところから落ちているのだろうか?

 それにしては、落下するときの内臓が置いていかれるような感覚は全く無い。

 どことも知れない場所を、何の支えもなく漂っている感覚は私の心を不安定にさせる。



 ――怖いよ。…一体どうなっちゃうの?



 私はどうすることも出来なくて、不安な心を抱えたまま、体から力を抜いて漂うことしかできなかった。

 …助けて、助けて!ジェイドさん!

 そう心の中で助けを求めることだけが私に出来ることだった。



 暫く流れに身を任せていると、私の体に何かが触れた。

 温かくて力強い。とても覚えのある感覚。

 ふわっと男性もののコロンの香りがする。



 ――ジェイドさん。ジェイドさんだ!



 ジェイドさんは私の体をぎゅっと抱きしめてくれる。

 私もジェイドさんの体に手を伸ばして、力いっぱい抱きしめた。



 ――来てくれた。ジェイドさん…。



 さっきまでの不安だった心はどこかに消え失せて、私は唯々ジェイドさんの存在を確かめるように強く抱きしめる。

 彼の首もとに顔を擦り付けて、会いたかったと、とても嬉しいという気持ちを込める。

 ジェイドさんは大きな手で私の頭を撫でてくれた。その手つきはどこまでも優しくて、私は思わず頬を緩める。



 ――これで、安心。きっと大丈夫。



 私は何故かそう確信をして、ジェイドさんに体を預けた。



「――っはあ…っ!」



 何かを抜けたような感覚がして、空気が変わった。

 先ほどまでの粘り気のある空気から、普通の空気の感覚に変わったので、思い切り息を吸う。

 目を開けると直ぐ近くに、ジェイドさんの顔があった。



「茜、大丈夫ですか?」

「ジェイドさんこそ」

「はい、大丈夫です。それにしても、ここは…」



 辺りを見回す。

 一番初めに目に飛び込んできたのは、私の身の丈ほどあるシダのような植物。

 私とジェイドさんの周りにびっしりと生えたそれらは、ところどころ緑色の燐光を纏い、風にそよいでいる。

 そのシダ植物の合間には、白い木肌の枯れ木がぽつぽつと立っており、足元はふわふわした苔のようなもので覆われて、真っ直ぐ立つのがなかなか難しい。

 空は虹色に鈍く光り、得体の知れない大きななにかが飛び交い、けたたましい鳴き声をあげている。

 時と共に色を変える空を眺めていると、ふと大きな月が目に入った。



「月がいっぱいある…」



 驚くことに、黄色い大きな月がいくつも一列に並び、端から繊月、三日月、上弦の月、十日矢の月、満月…と順に満ち、そして欠けていく。まるで理科の教科書に載っている月の満ち欠け図をみているようだ。

 ふと隣をみると、ジェイドさんも月をみていた。

 ジェイドさんはとても険しい顔をして、空を睨みつけている。



「これは…」

「ジェイドさん?」



 ジェイドさんは私の手をぎゅっと握り締めてきた。

 その力は強く、握られた手が痛い。



「精霊界…」



 ジェイドさんの呟いた声が、虹色の空に溶けて消えていった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「伝承で伝えられている風景にそっくりなんです」

「…そうなんですか…」



 この間、劇で見たばかりの世界に自分が迷い込んでしまった。

 そんなこと、普通だったら簡単に信じられそうにないけれど、周りの景色はあまりにも日常とかけ離れていて、妙な説得力をもって私に現実を突きつけてくる。



「私、正直言って、劇の中だけの世界なのだと思っていました」

「俺もですよ。精霊界の存在は小さい頃から文献や伝承で見聞きしていましたが、結局は御伽噺なんだろうと思っていましたから」



 私は堪らなく不安になって、ジェイドさんに寄り添う。

 そんな私を安心させるように、ジェイドさんは私の肩を抱いた。

 ――その時だ。

 シダ植物を掻き分けるようにして、何かがこちらにやってくる。

 ジェイドさんは私を背中に隠して、腰に佩いた剣に手を添え、いつでも抜剣出来るように構えた。



「まめ!」

「…お前!」



 現れたのはまめこ。

 長い葉の髪をゆらゆらと揺らしながら、のっそりと現れたまめこは、剣を抜いたジェイドさんに構わず、私の方に近づいてくる。



「茜、下がって!」

「ま、待ってください!この子、知り合いなんです!」



 ジェイドさんは今にもまめこに斬りかかりそうだ。私は慌ててジェイドさんを止める。



「あうー」

「まめこ、どうしたの?なんでここに?」

「茜、その精霊があなたを精霊界へ引きずり込んだんですよ。近寄ってはいけません」

「ええ…?」



 ――ああ、そういえば気を失う前に、まめこの姿を見たような気がする。

 まめこが私を?何故?

 そんな疑問が頭の中をぐるぐると回る。

 けれど、まめこはいつもの調子で首を傾げて、ゆらゆら揺れているばかりだ。



「茜、いつその精霊と知り合ったのですか」

「う」



 ジェイドさんがまめこから目を離さずに、私にそう問いかけてくる。

 私は一瞬迷ったけれど、ジェイドさんに今までのことを洗いざらい話した。



「妖精女王に、ドライアド。…茜、あなたってひとは…」

「ご、ごめんなさい。なんとなく話す機会がなくって」



 隠していたつもりはないのだけれど、夜に隠れてお酒を飲んでいたら妖精の女王さまと知り合いました、などと、どう説明すればいいのかわからなかったのもある。



「後、俺に話していないことはないですね?」

「はい…」



 ジェイドさんは呆れたように眉を下げた。

 そして、抜いていた剣を腰の鞘にしまった。



「ジェイドさん…!」

「取り敢えず、害意は無いようですから…。でも精霊も妖精女王と同じくきまぐれなものです。油断してはいけませんよ」

「はい。わかりました」



 ジェイドさんは、ぽんぽん、と私の頭を軽く叩いてそういってくれた。

 すると、ジェイドさんの動きを真似するように、シダ植物の大きな葉っぱが私の頭をばさばさと叩く。

 何ごとかと見てみると、まめこがシダ植物を折って手に持ち、それで私の頭をばっさばっさと叩いていた。

 まめこは私の胸ほどの身長だ。…手が届かないから、工夫したのだろうか。

 まめこの表情は相変わらずわからないけれど、私の反応を伺っているのは解る。

 …多分、私は今まめこに慰められているのだろう。

 少し可笑しくなってしまって、まめこの手からシダ植物をとり、葉で覆われたまめこの頭を優しく撫でた。



「おー!」



 まめこは嬉しかったのか、左右に頭をぶんぶんと振ってはしゃいでいる。



「俺、ドライアドを見るのは初めてなのですが…こんな感じなんですね」

「さあ…私、初めて会った精霊がまめこなので、いまいち解りませんけど」

「それより、茜。ええと…まめこ、というのはこのドライアドの名前ですか?」

「はい!私が名付けました!可愛いでしょう?」

「そ、そうですね…」



 何故かジェイドさんの顔が引き攣っている。

 まめこは一見すると、ただの木のお化けだからちょっと怖いのかもしれない。

 私はジェイドさんにまめこの可愛らしさと、無限枝豆製造機になる素晴らしい能力のことを教えておいた。

 ジェイドさんの顔が更に引き攣ったのは、どうしてだろうか。



 ふわふわの苔に覆われた地面を、バランスを崩さないように踏みしめながら、先導するまめこの後を追う。

 あの後、まめこが急にどこかへ向かって歩き出したので、私とジェイドさんはその後を慌てて追いかけた。

 まめこが何故私たちを精霊界へ連れてきたのか、話せない彼女に問いただしても解る筈もない。右も左もわからない精霊界で、無闇に彷徨うよりはマシだろうと、取り敢えずまめこに着いて行く事に決めた。

 私の身の丈ほどあるシダ植物を掻き分けながら進む。

 シダ植物が纏う緑色の燐光が、私の顔や体にあたってぱちん、ぱちんと消える。

 シダ植物を掻き分けた反動で、茎が跳ね返ってビシバシと私の体に当たって痛い。痛みに耐えながら、必死になってまめこに着いていくけれど、行けども行けども見えるのはシダ植物ばかり。なんだか出口の無い迷路に迷い込んだような気分だ。

 そんななか私より小さなまめこは、行き先がわかっているのか、苔の地面をふわふわと跳ねる様に歩き、ずんずんと前へ進んでいく。

 そうして小一時間ほど歩いただろうか。

 突然群生していたシダ植物の中から抜けた。



「――わあ!」



 私たちが辿りついたのは、生い茂るシダ植物のなかで、そこだけ丸く切り取られたような小さな広場。

 緑の燐光が白い霧と一緒に広場中を漂い、霧で煙って天辺はよく見えないけれど、天を衝くような白木の大樹が聳え立っている。その大樹の中ほどにある大きな(うろ)から、透き通った水が零れ、それが大樹の前に小さな水溜りを作っている。



「茜、何かいるかもしれません。俺の後ろに」



 ジェイドさんが抜剣して周囲を警戒している。

 けれども、シダ植物を抜けたところで、戸惑いと警戒心から立ち止まっている私たちを余所に、まめこはその大樹の麓まで軽い足取りで行ってしまった。



「まめこ!」



 私がまめこを呼ぶと、まめこはこちらを一瞬だけ振り向き、首を少しだけ傾げた。

 そしてまた大樹のほうへ向くと、そのまま真っ直ぐ突き進み――ふっ、と木肌をすり抜けるようにして居なくなってしまった。

 私は驚いて、何度か眼を瞬く。直ぐに戻ってくるかと思って、まめこが通り抜けた部分をじっと目を凝らしてみてみるけれど、暫く待ってみてもまめこが戻ってくる様子はなかった。



「…取り敢えず、警戒しながらあの木のところまでいってみましょうか」

「…はい」



 ジェイドさんの言葉に同意して、ゆっくりと足を進める。

 広場ではシダ植物が風にそよぐ音がするだけで、何か他の生き物がいる気配はしない。

 周りを警戒しているジェイドさんの後ろで、緊張で高鳴る鼓動を意識しながら、慎重に歩を進める。

 大樹から零れる水のせいで、足元の苔が水に漬かっており、一歩踏みしめるごとにじゅく、じゅくと水を染み出させ、靴はあっという間にびしょ濡れになってしまった。

 靴に水が染みる嫌な感覚に辟易しながらも、私たちはようやく大樹の下に辿り着いた。今のところ、特に周辺に変化はない。大樹を下から見上げると、木の幹は首を巡らせないと全体が把握できないほど太く、白い木肌は白樺のようにつるりとしている。

 太い幹から沢山の枝が伸び、その先には大きな菫色の葉が沢山茂って幾重にも重なり、風に揺られて擦れるたびにざわざわと大きな音をたてる。



 あまりにも大きな大樹に圧倒されて、思わずぼうっと上を見上げていると、視界になにか動くものを見つけた。

 大きな枝の上で、もぞもぞと蠢いているそれは、黒く濁った半透明のジェル状のなにか。それは今にも枝から零れて、地上に落ちてきそうだ。



「ジェイドさん…」

「茜?どうしました?」



 私が指で上を指差すと、ジェイドさんも大樹を仰ぎ見た。



「なんだ、あれは…。沢山いる」

「え?」



 ジェイドさんの言葉に驚いて、私は慌ててもう一度大樹を見上げた。

 もぞり、もぞりと蠢くそれは、先ほどまでは一体だけだったのに、確かに今は大樹の大きな枝にびっしりと張り付き、そして次の瞬間どろりと――地面に向かって、零れ落ちてきた。



「危ない!」



 ジェイドさんの焦る声が聞こえる。

 私はぼろぼろと枝から得体の知れないものが降り注いでくるその光景が、あまりにも衝撃的で目が離せずに咄嗟に動けない。

 ――どん、と強く押されたけれど、大量に落ちてくるそれを避けることは適わなくて――…

 私はあっという間にそれに押しつぶされ、飲み込まれてしまった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「茜、起きなさい!ご飯よ」



 お母さんの声が聞こえる。

 けれど、あまりにも布団の中がぽかぽかで、天国みたいで、出来ればずっとここにいたい。



「むう…」



 私は目を瞑ったまま、寝返りをうつ。

 もう少し、もう少し眠っても罰はあたらないはず…。



「もう、ジェイドさん、来てるわよ!」



 お母さんのその声に、私は一瞬で覚醒をして、あったかぬくぬくの布団を跳ね除けた。

 そして、急いで着替えて洗面所に行く。



 ――ああ、どうか途中でジェイドさんに会いませんように!



 小走りで洗面所に駆け込み、歯磨きをして身だしなみを整える。

 化粧は成るべくナチュラルに仕上げて、髪を撫で付けて。

 ふう、と息を整えて鏡で全身をくまなくチェックする。

 寝癖なし、化粧…大丈夫。服…多分、問題なし。

 私はそうっと静かに洗面所のドアを閉めると、足音を消して居間の扉へと近づく。そして、扉のガラス部分からそっと中を覗くと、居間のソファにジェイドさんが座っていた。

 …ああ、今日もかっこいい。

 紺色のセーターに、黒のスラックス姿のジェイドさんは、今日もきまっている。

 鎧姿も素敵だけれど、普段着もなかなか…ん?鎧?

 ふと頭の中に変な単語が過ぎる。

 何故そう思ったのだろう。鎧なんておかしなもの、ジェイドさんが着る筈がない。

 だって彼は商社で働く営業(・・・・・・・)普通のサラリーマンだ(・・・・・・・・・・)

 自分の不可解な思考に首を傾げながら、居間の扉をそっと開く。

 すると直ぐにジェイドさんはこちらに気づいてくれて、立ち上がって私を迎えてくれた。



「茜。おはよう」



 ジェイドさんは優しげな微笑を浮かべ、私のこめかみに軽くキスを落としてくる。



「ジェイドさん、おはようございます…そ、その。恥ずかしいのですけど」



「ああ――つい(・・)。茜があんまり可愛らしいものだから」

「もう!」



 ジェイドさんの胸を拳で軽く叩くと、「ごめんごめん」と軽い調子で彼は謝った。



「全くだ!まだ結婚をしていないのだから、未婚の男女がそんな朝っぱらからちゅっちゅ、ちゅっちゅと――」

「わあ、お父さんうざーい」



 ジェイドさんの後ろの方から、お父さんとひよりの声が聞こえた。

 …あ、お父さんいたんだ。

 お父さんは不機嫌そうに顔を顰めて、さらには口をへの字に引き結び、腕を組んでいる。

 いかにも厳格そうな父親を演出しようとしているけれど、どちらかというとひょろっとした体格のお父さんがするには似合わなくて、なんだか可笑しなことになっている。



「ジェイド君。君もまだ茜とは正式に結婚していないのだから――」

「なにいってるのお父さん」



 お父さんの長くなりそうな話を遮って、お母さんが居間へ入ってきた。

 お母さんは腰に手をあてて、呆れた顔でお父さんを見つめている。



「明日はふたりの結婚式なんだから。一日くらい別にいいじゃない」

「よくない!お父さんは一日だって妥協できない!」



 お父さんはまるで子どものようなことをいい、膨れっ面だ。

 そんなお父さんを見て、私とジェイドさんは顔を見合わせて笑った。

 そう。明日。私とジェイドさんは結婚する。

 ジェイドさんとは、偶然街で出会って、なんとなく気が合って、一緒にお茶をする仲になった。破れかぶれに私から告白したら、思いがけずOKの返事を貰えた時は思わず泣いてしまったっけ。付き合うようになってから三年。去年のクリスマスにプロポーズを受けた。

 お父さんを説得するのは大変だったけれど、漸くこの春に結婚式をあげる。



「茜、朝ごはんもう出来ているから、運ぶの手伝って?」

「うん。わかったよ」



 未だぶーぶー文句を言っているお父さんは放って置いて、私は台所へ続く引き戸に手をかけた。

 …あれ。引き戸?

 また疑問が沸きあがる。どうして?引き戸?うちの台所はダイニングキッチンだから、引き戸なんて開ける必要はないはず。

 不思議に思って周りをみると、何故か両親の建てた家ではなく、祖父母の家にいた。

 何故ここにいるんだろう、祖父母に挨拶にきたんだっけ…?

 でも、おかしい。祖父母は二年前に死んでいるのに(・・・・・・・)

 頭がうまく回らない。

 そうだ、お母さん。

 お母さんに聞こう。お母さんなら何でも知っているはず。

 私は引き戸を開けて、台所にいるお母さんに声を掛けた。



「お母さん?あのね…」



 私の声にお母さんが振り向こうとした瞬間、ふっとその姿が掻き消えてしまった。

 そこにはいつもの見慣れた台所があるばかりで、お母さんの姿はどこにも無い。

 どこに行ったんだろう、お手洗いかなあ。

 不思議に思いながら流し台に近づくと、出来ているはずの朝食すらなく、台所に火は入っておらず冷え切ったままだ。



「あれ…」

「茜」



 ジェイドさんの声がしたので後ろを振り向くと、鎧姿のジェイドさんが居た。



「ジェイドさん、どうしてそんな格好」

「茜。気を確かに持って。ゆっくりと現状を把握するんです。…あなたは今どこにいますか」



 ジェイドさんの表情が硬い。それに、さっきまでは砕けたしゃべり方だったのに、また敬語に戻っている。ジェイドさんが私に敬語を使うのをやめさせるの、ものすごく苦労したのに…。またやりなおさなきゃ。



「茜。答えてください」

「ええと」



 ジェイドさんが私の肩を掴んで、揺さぶってくる。

 そんなに怖い顔をしなくても、大丈夫なのに。わかっているのに。



「ここは――うちの台所で――」

「違います。茜、周りをよく見て。ここは、さっきまで近くにいた大樹の中です」



 ジェイドさんがそういった瞬間。

 私がいたはずの台所の景色が霧散して、ごつごつした薄暗い木の洞へと一瞬にして変化した。

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