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幕間 クレアーレさん頑張る その2

近況報告です。


――忙しくて更新できない。


以上です。

「くそっ――どうしてだ」


 アーロンがベッドの上で奥歯を噛みしめている。


 上半身は裸で、下半身は布団に隠れている。


 悔しさを滲ませるアーロン。


 窓からは朝日が差し込み、コーヒーカップを二つ持った先輩が部屋に入ってくる。


 ここは先輩の部屋だ。


 黒髪オールバックで、シャツのボタンを付けていない格好の先輩。


 前が開いており、鍛えられた上半身が見えていた。


「また二日酔いか、アーロン」


「あ、あぁ、悪いな、先輩」


 飲みに行く度に酔い潰れてしまい、目を覚ますと決まって先輩の部屋にいる。


 最初は怪しんだが、こうも続くと感覚が麻痺してそんなものかと受け入れていた。


 いや、それよりもアーロンには気になることがあった。


「他人行儀はよしてくれ。ダリルと呼んでくれていいぜ。歳も近いんだからよ」


「悪いな、ダリル」


 先輩だが、気さくな男にアーロンは警戒していた。


 いや――。


(くそ――どうしてだ。どうして、胸がときめくんだ!)


 リビアを狙っていたはずなのに、気が付けば酔い潰れていることが多くなった。酒に弱いのかと自信をなくし、今では女より男を目で追っている自分がいる。


 アーロンはそんな自分が悔しかった。


 ダリルからコーヒーを受け取り、飲むとおいしかった。


「うまいな」


「コーヒーには自信があるんだ」


 ダリルがベッドに腰掛ける。


 ダリルのベッドだからおかしくはない。


 おかしくはないのだが――アーロンは背筋に悪寒が走らないのに気が付いた。


(前はもっと警戒して、身の危険を感じていたのに!)


 アーロンは自分の変化に戸惑っていた。



 アンジェの部屋。


 クレアーレは子機からの映像と音声を確認しつつ、満足そうに青い一つ目を縦に振っていた。


『素晴らしい結果ね。状況を作るだけでこんなにも簡単に惚れるなんて』


 そんな危険な台詞を聞くのは、アンジェの部屋で着替えをしていたリビアだった。


「――アーレちゃん、何か変なことをしていませんか?」


『変なこと? 失礼ね。動物実験をしているだけよ』


 動物実験と聞いて、リビアが怒るのだった。


 ただし、リビアは実験動物をマウスか何かだと思っているようである。


「十分に変なことです! 一体何をしているのか教えなさい!」


 クレアーレは呆れたように答えるのだった。


『何をしていると思っているの? リビアが思っているようなことはしていないわよ』


「で、でも、惚れるとか、素晴らしい結果とか――」


 きっと注射器やら、解剖やら、そういった実験だと思っているのだろう。


 クレアーレは本当に呆れるのだった。


『あのね、実験にも色々とあるのよ。薬なんか使っていないわよ。今は、どんな状況なら愛が芽生えるのかを見ているだけよ』


「愛ですか?」


『そう、愛よ。好きでしょ、愛。私も大好きよ』


 リビアが困惑している。


「愛を実験するなんていけないと思います。もっと愛は自然で――何て言うか、惹かれ合うようなものだと思います」


『マスターと貴方たちみたいに?』


 リビアが顔を赤くしていた。


「え、えっと――はい」


『でも、マスターと接点がなければ――言い方を変えれば、状況が違えば愛が芽生えたか分からないわよね』


 答えに困っているリビアに、クレアーレは優しく諭すのだった。


『大丈夫よ。愛とか言ったけど、もっと簡単に言えば仲良くする方法を調べているだけだから。ちょっとタイプの違う個体を、特定条件下に押し込んだら仲良く出来るか調べているの』


「そ、それなら問題ないのかな? で、でも、やっぱり駄目です。アーレちゃん、時々怖い雰囲気を出していますから」


 クレアーレが文句を言う。


『酷いわ。マスターならきっと喜んで賛成してくれたわ。むしろ、お前は甘いって叱ってくれたかも知れないわ。いえ、もっとやれ、って言ってくれたはずよ。それなのに――リビアの馬鹿! 分からず屋!』


 そう言って部屋から出て行くと、リビアが手を伸ばして追いかけてきた。


「アーレちゃん待って!」



 廊下。


(こうしておけば、しばらくは罪悪感を抱えて私に優しくなるわね)


 自身を探し回っているリビアを眺めつつ、クレアーレは身を隠しつつ今後について考えていた。


(凄いわ。女好きの男が、男にときめくようになるのに薬なんて必要ないのね。惚れ薬を用意するべきか悩んだけど、これには私もビックリよ)


 悪い子をお仕置きするつもりだった。


 だが、その過程で薬の実験をすればはかどるのではないか?


 そんなクレアーレの目的により、犠牲になった数名の男子たち。


 クレアーレは、今日も楽しく学園で過ごしています。


リオン(;゜д゜)「お前の中で俺の評価ってどうなってるの? 言わないよ。もっとやれとか、お前は甘いなんて言わないよ。むしろドン引きだよ」


クレアーレ(○ )『マスターはそんなことは言わないわ! もっとやれって言ってくれたはずよ!』


リオン(#゜Д゜)「言わねーよ! あんな野郎はさっさと退学処分にして、社会的に潰してやれば終わりだろうが! お前、悪質すぎるんだよ! 俺でもそこまでするのはためらうわ! 女好きを男好きにするとか、酷いにも程があるだろ!」


クレアーレ(○)『そのためらいのなさ、素敵!』


ルクシオン( ●)『流石はマスターです。惚れ惚れするぐらいの外道ですね』

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― 新着の感想 ―
[一言] このAI絶対元になった人格データ旧日本の趣味人だよ! これが習慣化し、新人歓迎会には必ず一定の趣味を持った先輩方が監視につき女性に手を出しそうな輩に近づき優しく酒を奢って酔いつぶしてお持ち…
[一言] あっ(察し)
[良い点] 気のあう相棒ができてよかったね。 [気になる点] 王国で『一年にしちゃいいね』な冒険者が社会的に死んだら犯罪者じゃないですか。 [一言] 幸せならいい弟子よ。 回復魔法もあるし(聖女のが強…
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