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俺のステータス?

サブタイトルが思い付きません。もう数字でいいかな?

『汝は我の遣した偉大なる光り輝く勇者なり!・・・どうよこんなの?』


歓声が響き渡るアルトリア中央神殿の祝福の儀式を執り行うホールで俺だけは周りとは逆に限り無く青い顔をしていた。


「あの野郎、何が目的なんだ。」


俺の問い掛けた言葉は歓声に揉み消され誰も聞いていない。聞かれていたら大問題だろうが今はそんな事を気にしている余裕が無かった。・・・・・・どうして一言で終わらせなかった!


俺の近くには大神官が泡を吹いて倒れているのに誰も助けに来ないで上を向いて祈っていたり、歓声をあげたり・・・ハースレイに至ってはガッツポーズで奇声をあげている。


お前は神官失格だ。この不味い状況で俺は集中して考えた。神託はされたのだから訂正出来ない。勇者として生きていかなければならないがどう行動するかは明言されなかった。


・・・勇者が魔王を倒さなければいけないと言うルールは無い!この状況から俺の願いを叶える為には・・・


俺は考えた結果を行動に移す為に皆の方を向いて両手を広げサングラスの司会者の様に観客をコントロールして場を静かにさせた。


今だけは魅力の能力に感謝をしてやっても良い。良く絶妙のタイミングで発動してくれた!


「私は神託に従い役目を果たそう。・・・だが其れは魔王の討伐ではない!まだ幼い勇者達を護る為に私は遣わされたのだ!」


嘘です。


「しかし世界は来るべき魔王の脅威に対して準備もままならない状態である。戦争に貧困・・・これらを解決しなければ世界は魔王を討伐しても勇者達により滅ぼされるであろう。」


かも知れないって話だけどな!


「其の為に今の私に出来る事は少ないが役目を果たそうと思う。世界を救う為に必要なのは勇者では無い!この世界に暮らす人々の意志の力である!あえて言うならこの危機に立ち上がった一人一人が勇者だ!」


大した事は言っていないのに感動してくれる観客達に感謝しながら締め括ろう。


右腕を高らかに空に突きだし声を張り上げる。


「勇者達よ今こそ立ち上がり世界を救え!」


俺以外ならこの誰でも際気にしないから救ってくれ!・・・・・・主に俺をな!





この後は耳が痛くなる様な歓声を受けながら始めから決まっていたかの様にホールから退場して、神官や騎士達に取り囲まれた。


どちらが俺を引き取るかで揉めている隙に逃げ出して屋敷で引き籠もれば警備だと言って屋敷の周りには騎士団が見張りとして立っている。


何なんだよこの状況は・・・考え込んでいたら俺の部屋にセイレーンとラミアがノックをしないで入って来た。これは叱らないといけない!


だがどうした訳か思い詰めた顔をして武器を持っている。




姉妹の真実 セイレーン


今日参加した忌まわしき場所で行われた儀式は私と妹にとって死刑宣告でした。

漸く手に入れた幸せは勇者達に奪われてしまいます。

この前から家に住んでいた勇者が憎いです。世界が憎いです。其れでも一番憎いのは私達を必ず殺すであろう、育ててくれた父が憎いです。


私達では絶対に勝てません。訓練ではどんな攻撃もどんな魔法も当たらないし、効果が無いのです。でも一番怖いのが父が全てを見通している事です。


私達の得意な事や苦手な事を必ず知っています。そんな父が気付いていない筈が有りません。私達に魔物の名前を付けたのも父なりの皮肉だと思います。


ラミアとも話して今夜にも父に襲撃する事にしました。勝てなくて良いんです。私達は父に殺され様と思います。






姉妹の真実 ラミア


お姉ちゃんに言われて父に襲撃する事になりました。

お姉ちゃんは優し過ぎます。欲しい物は奪えば良いのだから父を殺せば永遠に私達だけの父になるのに自分から死にに行くなんて考えられません。


神託を信じれば父が普通の勇者では無い事がわかります。でも私はみんな勘違いをしていると思います。父の評価はその行動で証明されているとお姉ちゃんも周りの大人も言っていました。


でも其れは違います!父は最強なんです。才能を見抜くとか未来を見通すとかそんな事は関係なく最強なんです。


私達の攻撃を止まっている物を避ける様に動いて擦りもしません。そして急所を確実に突いてくる攻撃には無駄が無く力も最低限にしか入れていない。


お姉ちゃんは父の行動を危険視して居るけれどそんな事は大した問題では無いんです。


最強を悟らせない父は私の憧れでした。・・・でも今日でお別れです。


寂しいけれどまた何時か死後の世界が有れば会えると思うので父が来るまで待っていようと思います!






俺の部屋に入って来た二人は俯きながら何かを言おうとして居るが言いにくいのか時々お互いの顔を見てまた俯く。持っている武器を強く握り締めているのか握る音が聞こえた。


「どうしたんだ二人して?お小遣い・・・を強請る雰囲気でもないな。」


「「今まで有難うございました!」」


「ん?」


何を言うかと思えばお礼か・・・だが何で武器を?


「「・・・私達が魔王です。」」


・・・教育を間違えたかな?俺に退治されて恩を返すとか考えていた様だ。だけどそんな事をしても恩を返しにはならないよ。お前等は人間じゃん。


「何かと思えばそんな事か・・・明日も早いから早く寝なさい。」


「え、私達は魔王なんですよ!」


「知ってたんでしょ!」


ああ、遊んで欲しかったのかな?最近相手をしてやれなかったから気にはしていたんだけど・・・少しくらいは付き合ってやるか。


「知ってる知ってる、可愛い俺の魔王様達は一体何がお望みかな?」


「「・・・父の命が狙いです。」」


目を見開いた後に殺気を放ってくる二人は真剣に遊んで欲しかった様で怒らせてしまった。


遊びでも温度差があると中々楽しめなかったりするからな。此処はどうしたら良いんだ?武器を持った少女に睨まれた俺は丸腰だし、勇者って感じじゃないから・・・やっぱり無理だな。


「悪いけど明日な。」


「なんで・・・どうして戦わないんですか!」


「お姉ちゃん・・・」


セイレーンが怒鳴るのをラミアが慰めている。良い姉妹だよね。


「可愛い魔王様達も早く寝ておけよ。明日からはどうなるかわからないんだからさ。」


そう言ったらセイレーンは泣き出して武器を手から落としてしまう。鉄の固まりが床で数回ぶつかる音を立てたがそれ以上にラミアの目付きが本気で怖い。


「・・・わかったよ。どうしても私達と戦ってくれないんなら其れでもいいさ。でも本気で殺しに行くからね。」


「何を言ってんだ?・・・・・・まさか!」


俺はどうやら勘違いをしていたらしい。この子達なりに自分の実力を見て欲しかったのかもしれない。昔から何処かズレていた二人だから俺が勇者と言われて魔王を名乗ってまで戦いたかったんだろう。


親に捨てられた二人の気持ちからしたら俺が出世してしまえば自分達が捨てられると想ったのかも知れない。だからエイミにも自分達の立場を奪われると思ってあんなに真剣に向って行ったのか。


「済まなかったな二人とも、気付いてやれなかった俺が悪かったよ。・・・お前たちの実力はわかっているんだ。これからもずっと一緒に居て良いんだよ。」


「「え?」」


「確かにお前達を鍛えているのには理由が有るけど必要無くなったからって捨てるもんか!・・・大事な家族じゃないか。」


そう言って二人を抱き締めてやる。何処かで遠慮をしていたのには気付いていたのに何時かは慣れると思っていた俺はなんて馬鹿なんだ!


「許してくれ二人とも・・・」


「えーと、そうじゃ無いような・・・」


「どうしようお姉ちゃん!こんな事になるなんて私考えてなかったよ。」


照れている二人が何か言っていたが俺が聞き返しても曖昧な返事ばかりを返して来ている。仕方ない事だよな・・・いきなり俺が勇者をさせられるんだから戸惑って居るんだろう。


「何か勘違いしていたのかな?ラミアはどう思う?」


「・・・私達かな?其れとも・・・やっぱりわかんない。」


「え、勘違い!」


「「・・・」」


なんか酷く呆れられたがこれで二人の悩みが無くなったんならそれでも良いが、なんだろう・・・シックリ来ない?






次の日は朝から最悪だった。やたら豪華な神官服を着たハースレイ・チョビ髭が満面の笑みで屋敷を訪れたのだ。白と青を使った神官服にマントやら金の刺繍が施され・・・あれは神官長の服装じゃないのか?


あいつ、まさか出世したのか!何か裏工作みたいな動きが有ったのかもしれない。無駄に得意そうだもんな・・・俺と同じで勉強だけは出来るタイプで腹黒いからなハースレイは!


「これはこれは、勇者様もお元気そうで何よりです。」


玄関まで行くと使用人と気さくに話しながら其処に立っていたハースレイからの挨拶に腹が立ったがこんな所で怒っていたら身が持たない。


「出世した様で何よりですねハースレイ神官長様、其れから何か用ですか?」


「ははは、私などが神官長になれたのも勇者様のお陰ですよ。・・・本題ですが神殿に来て頂きたいのです。無論!総本山たる神殿にです。」


「時間に余裕が有れば観光に行きますけど今は無理ですかね。」


「ふっ、勘違いされている様だ。」


眼鏡を格好よく指で位置を直す。どうしよう偉い人に見えないし、小物臭がするよ。


「お前は何時も勘違いしてるけどな。いい加減に気付いてくれよ。」


「今日来たのはお願いでは有りません!神殿からの指示です。そこら辺を良く考えて・・・」


何を強気に出てんだよ。其れから気付いているのかな?俺は思い出したくも無い神託に従えば『遣い』でも有るんだけどね。俺は一回溜息を吐いてから、


「お偉いさんには『お前舐めてんのか?新しい勢力を創られたくなかったら俺に構うな!』って言えば納得するだろうから、走って伝えて来てね神官長様。」


「・・・え!」


「王妃様に手紙を書いたんだよね。神殿に消されたら勇者達の事を頼みますってさ!」


「その様な事は私の名に賭けて、」


「無理無理、ハースレイさんには俺を護れないし、俺にはやるべき事があんだよ。さっきのは冗談としても俺を囲い込んでも良い事無いよ。神殿の最高権力者と神に遣わされた俺・・・どっちが偉いのかな?」


「其れはこれから・・・」


組織のリーダーは明確にしてないといけないよ。巨大勢力の神殿でツートップとかになったらどちらかが退場するか分かれるか・・・良い事無いんだよ。これから色々と忙しいから面倒事は勘弁して欲しいしね。


「俺を潰したい気持ちもわからなくないし、利用したいと思っても周りは納得しないよね?なら俺は辺境の地に行くからそっとして置いた方が良いよ。無理に勢力なんて創らない積りだしさ。」


「せ、勢力とは!・・・まさか!」


「俺にはやる事が有るから神殿には何もしないから俺の邪魔もしないでよ。」


「・・・」


その後は何時もの様に無理矢理納得させてご帰宅して貰った!俺の能力『魅力』はこんな時に確かに使えるけどもともとこの能力が無ければ問題無かったんだよな。


この後も多くの人が屋敷に来て大変だったが俺は辺境で静かに暮すんだから邪魔をするな!と大声で言えたらどんなに良い事か・・・






 そして今回の最大の難関たる城での王妃様との謁見・・・王様も居るけどもう影が薄過ぎて目を凝らさないと見えない。多くの騎士や大臣に貴族の並ぶ中で俺は王妃様の前で膝を着き頭を下げる。王妃様は赤が好きなのかよく赤のドレスを着ているが今日もその赤いドレスを着て微笑んでいた。この人は若く見えるがこれでも二児の母とかで・・・二人とも王子らしい。見たこと無いからまだ幼いのかな?


「よく来られた勇者殿・・・其れで用件は辺境での任務の事だろうが、私からは拒否させて貰いたい物だな。今の状態でレオン殿が王都を離れられては少々外交的にも損になる。」


俺はただ聞くだけだ。だって意見を求められていない。


「レオン殿の意見は?」


・・・普通なら言い返せないが今の俺は価値の有る『勇者』なのだ!そして手の出し難い神託をされているから此処は少々無理をしてでも辺境を目指そう。


「では、騎士の称号を返上してでも辺境へ向かいます。私が欲しい物は王都には有りません。これは私がしなければならない事です。」


「・・・そうか、其れなら辺境へ行く事は認めよう。しかし一つだけ伝えておこうか。この二ヶ月間辺境で治安維持をしたのはレオン殿を良く思わん連中だ。私はこれを機会に彼等を辺境に追いやったが、其れでも行きたいと思うかな?」


は?・・・目茶目茶良い事じゃないか!俺の評判に惑わされず反対の立場を選んで不利な立場に追いやられた兵共・・・まあ、ただ目立っていた俺が気に食わなかっただけかもしれないがこの際其処は問題ではないんだ!俺を否定的に見ている連中と言う事は必要以上に絡んでこないし、仮にも『勇者』である俺に危害を加えるとも考え難い。


其れぐらいの頭の賢い連中だといいな。脳筋ばっかりだったら流石に疲れそうだからな。


「問題ありません。直ぐにでも辺境に向かいたいと思います。」


ざわめく謁見の間で王妃様が手を上げるだけで静かになる。何処か腹立たしそうにしていた王妃様は俺の顔を見て急に笑い出した。


「よい。其れで良い!流石は勇者と言った所か?私にしてみたらレオン殿がこの国に居ると言う事実さえあればどうにでもなる。無論其の知略は必要とも思うが・・・レオン殿が辺境を守護してくれるなら帝国も手を出さないだろう。」


「其れは確かにそうでしょうが・・・レオン殿がもしも死んだりすれば一大事ですぞ!」


王妃様の一番近くに居た大臣が顔を歪めている。俺の事より俺の立場が大事な様だ。


「其の程度で勇者が死んだら神託の件も当てにならん。だがレオン殿がそう簡単に死ぬのか?私には想像出来ん事だな。幼き頃に『バジリスク』を仕留めた強者が死ぬのなら世界など滅んでしまう。」


本気か冗談かわからない内容の発言を苦笑いしながら聞いていた大臣は発言を止めたが納得はしていない様だ。・・・バジリスクは大勢で仕留めたんだけど此処で言う様な事でもないか。


「其れではこれより辺境に向かいます。」


「期待しているぞ『勇者様』・・・寂しくなるがレオン殿は目立つからな、何処に居ても噂が聞こえて来そうだ。」


最後まで俺にとって笑えない冗談を言ってくるこの人も要危険人物に加えておこうと心に決めた。






おまけ


ステータス?


レオン・アーキス  15歳時


Lv3(戦闘経験1回) 職業 勇者(笑)


特殊能力 


集中力Lv3 高いレベルの集中力を長時間維持出来ます。レベル上昇で集中時に身体能力と頭の回転が良くなります。


才能判断Lv4 対象の人物を見ると其の人物の才能と向いている職業がわかります。レベル上昇で物に宿る特殊効果も曖昧にわかります。


魅力?LvMAX 神の悪戯により付けられた能力になります。効果は常時発動していますがここぞと言う時に其の効果を最大限に発揮します。対象を選びませんので注意して下さい!



おまけは適当に書いてみました。攻撃力とかは考えるの面倒で省きましたが・・・レオン君がステータスを閲覧できたら怒りそうですね。


急いで書いたので内容も変えるかもしれませんがこれで本当にストック切れです。


何時の間にかお気に入り登録も増えていて嬉しくなりました。目標は前に書いていた物を超える事ですかね。


また完結できる様に頑張って書いていきます。

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